銀行の金利について

金利の基本

「金利」というのは、お金を貸し借りする時に支払われる使用料であると言えます。
通常、金利は元本に対して1年間の使用料の割合(年利)で表されます。

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金利は運用方式によって、利息をその都度受け取れる「単利」と、利息を元本に組み入れて再運用する「複利」とに分けることができます。
最終的に複利の方が利回りが高くなります。

また、満期までの金利を固定している「固定金利」と、定期的に金利が見直される「変動金利」があります。
銀行の定期預金は固定金利であることが多いです。

銀行では基準金利が定められています。
預金、融資、ローンといった金融商品の金利はその銀行の基準金利と金額・期間などに沿って設定することになります。
ボーナスの時期などで、預金を多く集められるチャンスの時はキャンペーン金利として、金利が高く設定されたりもします。

 

短プラと長プラという銀行の基準金利がある

銀行の基準金利には短プラと呼ばれる「短期プライムレート」と、長プラと呼ばれる「長期プライムレート」という2つがあります。

短プラは融資の期間が1年以内の時に適用され、1年以上になると長プラの基準金利になります。
短プラに貸付期間に応じた金額を上乗せしたものが長プラです。

実際には、企業向け融資などでは企業の信用や担保の状況、期間などによって基準金利に上乗せして決められることがあります。
長期間の貸出になれば変動金利を適用することも多いです。

短プラも、実のところは「無担保コール翌日物」という短期市場金利と連動しています。
この金利は日銀が介入、操作しています。
日銀は短期市場金利を操作して、銀行の金利を引き上げたり引き下げたりしているのです。

 

金融市場は用途や金融資産に応じて使いわけている

いろいろな金融市場で取引を行うことによって、銀行は資金や資産の調達及び運営を行っています。

「短期金融市場」という満期までが1年未満の金融資産の取引と、「長期金融市場」という満期までが1年以上の金融資産の取引にわけることができます。
短期金融市場はさらに2つにわけられ、金融機関だけが参加する「インターバンク市場」と一般事業法人も参加する「オープン市場」があります。
インターバンク市場では約束手形や商業手形、外資資金などが扱われています。
オープン市場では譲渡性預金や、債券、国債といったものが扱われています。
銀行は、インターバンク市場を通して、短期資金の調達をしています。

短期金融市場は、個人・法人を問わずに参加できる「証券市場」です。
その中で扱う金融資産によってわけていて、企業の株式を扱う「株式市場」と国債などの債券を扱う「公社債市場」があります。

銀行における規制と法律について

色々な法律によって規制を受けているのが銀行です。
「銀行法」というのは、銀行業務における公共性や信用維持、預金者の保護、金融の円滑化などの観点から銀行業務をレギュレーションする業法です。
銀行についての業務内容から、子会社・持株会社、経理、監督・罰則、合併から廃業、さらには営業時間や休業日、役員の解任権まで規定しています。

また、銀行法以外にも業務遂行のために理解しておく法律もあります。
「信託業法;信託法」という信託業務の範囲と事業者を定めたもの、「金融商品取引法」という販売事業者や投資運用業社などに有価証券の広告や販売契約に関するものを定めたもの、「金融商品販売法」という金融商品の販売全般における勧誘方針の公表と説明義務を定めたもの、「預金者保護法」というカードの偽造や盗難による払い戻しから預貯金者を保護するもの、「預金保険法」という金融機関が破綻した時に預金保護範囲を定めいるものなどがあります。

 

BIS規制とは銀行の自己資本比率を規定するもの

銀行は、「BIS規制」によって自己資本比率の規制を順守することを義務付けられています。
90年代前半から本格的用されるようになりました。

BIS規制は銀行の信用秩序を維持するために「国際決済銀行(BIS)」により、88年に公表されました。
国際業務をしている銀行は、銀行の総資産を分母とし、銀行の自己資本を分子にして算出する自己資本比率が8%以上であることが定められています。
国内では国内基準行において4%以上であることが求められています。

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自己資本比率を算出する定義がBIS規制とも言えますが、国や銀行の状況によって幾つかの算出方法から見合ったものを選べるようになっています。
06年からは、新BIS規制という信用リスクを盛り込んだものが日本でも適応されています。
今後、より規制が厳しくなっていくことでしょう。

 

金融庁検査と日銀考査は2年の1回の頻度で実施される

2年に1回程度の頻度で、金融庁と日銀は銀行に対して抜き打ちの検査を実施しています。
日銀考査は基本的には業務内容のチェックになります。
金融庁の検査は運営状態のチェックをします。

検査項目としては「経営管理」「金融円滑化」「リスク管理等」などがありますが、行政処分の対象になりやすいものはリスク管理です。
金融庁はおびただしい数の資料の提出を銀行に求めます。
それを元に「回収が困難になる融資をしていないか」「システムダウンの危険性はないか」「金融商品を顧客に強制的に販売していないか」といったリスクや管理体制など様々な方向から銀行の内部管理体制を監査します。

問題があれば「業務改善命令」や「業務停止命令」「免許取り消し」といった行政処分を行うことになります。
そうしたことにならないように、各銀行では独自の検査(行内検査)をしています。

基本的な銀行の業務

預金を集めることは銀行特有の業務

個人や法人から集めた預金を融資することができる金融機関が銀行です。
消費者金融などでもお金を融資(貸す)ことはできますが、預金を集めるということは銀行のみができる業務になります。

また、銀行は預金を集めることによって他の金融機関にはないサービスを提供しています。
「金融仲介機能」という借り手と貸し手を仲介する機能、「信用創造機能」という預金と貸出を繰り返し預金通貨を生み出す機能、「決済機能」という現金を使うことなく支払いをする機能です。

これら銀行3大機能は、銀行が融資する相手への信用と銀行そのものの信用により支えられています。
銀行が信用されているから預金が集まるために、銀行は豊富な資金が確保できます。
それを必要としているところへと融資するのです。

 

銀行の業務は固有業務、付随業務、周辺業務に分けられる

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銀行の業務ですが、「固有業務」「付随業務」「周辺業務」の3つに分けることができます。
さらに固定業務は以下の3つにわけられます。

「預金(受信)」という、預金者の資産を管理したり保管したりする業務。
「貸付(与信)」という、企業や個人にお金を貸す業務。
「為替(決済)」という、振込や送金といった現金を使うことなく決済を行う業務。

これらは銀行本来の業務と言えます。

また、為替業務については、「内国為替」「外国為替」という2つにさらに分かれます。
付随業務は「債務保証」「手形引き受け」「有価証券売買」といったような、銀行法で定められた固有業務関連の業務のことを言います。
銀行のクレジットカード業務についても、銀行法の改正によって付随業務として提供することが可能になりました。

周辺業務というのは、銀行法に定められていない業務になります。
そういった業務は銀行が直接行えないために、子会社を作ることでサービスを提供したりしています。
「信用保証」「リース」「ファクタリング」等があります。

 

間接金融は金融機関がリスクを負い、直接金融は貸し手がリスクを負う

「間接金融」というのは、金融機関が個人や法人から集めた預金を借り手に貸し付ける融資方法のことです。
間接金融の場合、借り手がお金を返さないリスク「債務リスク」を基本的に金融機関が負うことになります。

「直接金融」というのは、社債などを発行することで借り手が個人や法人から直接資金を調達するということです。
資金を貸す個人や法人が債務リスクを負うということになるのです。

間接金融を担当するのは銀行などで、直接金融を担当するのは証券会社などになります。
会社が大きくなってくると、貸し手自信が債務リスクを判断できるようになります。
正しい情報などが伝達されるようになるためです。
そうなると企業は直接金融による資金調達ができるようになります。

日本では昔から間接金融が主流でしたが、現在では直接金融へと移行する動きが大きくなっています。
これは資金調達コストが安いためです。
なので、銀行は大企業が行う直接金融をサポートする業務の充実を求められています。
逆に、直接金融を行えない中小企業に向けて、低リスクで融資を実施することも求められているのです。

銀行業界における採用とキャリア

銀行の採用は総合職、エリア総合職、一般職という3コースに分かれる

一般的に銀行の採用というのは「総合職」「エリア総合職」「一般職」という3つにわかれます。
総合職で採用された場合は、本部や支部、海外といった場所でいろいろな部署に配属されたり転勤があったりします。
エリア総合職で採用された場合は、本人の同意なく転勤があることは基本的にありませんし、配属先は支店となります。
一般職として採用された場合は、窓口業務やフロア業務、事務業務といったものを本店または支店で担当します。
中途採用も一時期は積極的にありましたが、採用者の定着率が悪かったり、馴染めず問題が発生するなどがあったので、最近では一部部門を覗いてはあまりなくなってしまったようです。

 

銀行の給与は業態と職種によってかなり違う

銀行で働いている人の給与は、職種や業態になってかなり違います。企業の規模が大きければ給与は高い傾向ですし、総合職であれば30代になると給与は跳ね上がりますがエリア総合職は昇進のスピードが遅いですし一般職であれば昇進はほとんどありません。
例を書くと、メガバンクの総合職ならば入社してから数年は200~300万円の年収ですが、30歳頃に「支店長代理」などの役職につけるようになれば500~700万の年収になりその後も役職が上がるに連れて年収も右肩上がりになっていきます。支店長や部長といったクラスでは年収が1300万円以上にもなります。しかし、それは厳しい出世競争に勝ち抜いた人だけです。競争に負けてしまった人は子会社などに出向したりすることになります。

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銀行員のキャリアは転勤とローテーションで色々な経験を積む

総合職は、2~3年に1度定期的に転勤を繰り返します。これは、長い間特定の顧客と付き合って不正融資や横領をしたりするのを防ぐためでもありますし、様々な部門や職種などを経験させるという意味もあります。
通常、転勤は「本店」→「商業地の支店」→「住宅地の支店」というローテーションで行われることになります。業務も「窓口」「渉外」「融資」を順番に担当するようになっています。
こうした配属や転勤の方針を決めるのが人事部になります。銀行では人事部がかなり大きな力を持っていると言われています。総合職の人は上司だけでなく人事部の評価ももらいながらキャリアを重ねていくことになります。
ちなみに、一部の銀行では本人の希望と面接の判断により、総合職とエリア総合職の間で転換を可能にしているところもあります。

銀行業界における売上と利益

銀行の売上は資金運用、役務取引、特的取引などで算出される

銀行の売上は「資金運用収益」「役務取引等収益」「特定取引収益」「その他業務収益」「信託報酬」の合計で算出します。
資金運用収益は個人ローンや企業向け融資などから受け取る利息の合計で、これが売上において一番大きな割合になります。役務取引等収益は振込や決済といったサービスの手数料によるもので、企業向けの融資額が伸び悩んでいる昨今では銀行の新しい収益源となってきています。特的取引収益は、有価証券や金融商品といったものの売買での販売額の合計になります。銀行で生命保険や投資信託の販売ができるようになったので売上が拡大してきています。その他業務収益は、市場業務などその他の業務での売上の合計のことで、信託報酬は証券や不動産を運用して発生した手数料になります。
ちなみに、欧米の銀行と比べると、日本の銀行はその他業務収益力が低いようです。

 

銀行の経費は事情経費と諸経費で構成される

「事情経費」と「諸経費」で構成されているのが銀行の経費です。
事情経費の構成内容は、収益項目ごとに、「資産運用費用」という預金に支払った利息など資金調達にかかった費用、「役務取引当費用」という振込や決済などにかかった費用、「特定取引費用」という有価証券や金融商品などの売買にかかる費用、「その他業務費用」という投資銀行業務や市場業務などにかかる費用というふうになっています。
全国銀行決済によると、このうちで一番多いのは資金運用費用になります。全経費の15%強を占めています。
諸経費というのは、「人件費」という給与など、「物件費」という家賃や運営費、さらに税金などで全経費の半分を占めています。

 

業務純益は銀行の収益力の判断基準となる

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銀行の売上の規模や利益率というのは業態によって大きく違ってきます。
10年度の資料によると、メガバンクが売上2・5兆.3・5兆で利益率20.30%、大手リテールバンクが売上4千億.2・2兆で利益率15.30%、信託銀行が売上高3千億.8千億で利益率20.30%、地銀の上位行が売上高2千億.3千億で利益率30.35% 、インターネット専業銀行が売上高2億.3百億で利益率6.10%程度です。
利益率は業務純益から算出します。インターネット専業銀行の銀行以外では、業務純益のほとんどを占めているのが、資金運用収益から資産運用費用を引いた『資金運用収支』です。なので、役務取引等が中心になるインターネット専業銀行は収益率が低いとみなされます。
しかし、資産運用業務をする銀行は「不良債権」が生じる場合があります。健全性を判断するには不良債権の額や「貸倒引当金」の額も木にした方がいいと言えます。

銀行業界における組織と職種

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銀行の組織は本部と支部に分けられる

銀行の組織についてです。一般的に「本部」と呼ばれるのが本店の各部門です。「支部」と呼ばれる支店などとで2つに分けられます。
本部は主に企画管理系の業務を担っています。プロフィット部門になる「リーテル部門」「法人部門」「国際部門」「市場部門」、バックエンド部門となる「サービス部門」「管理部門」、顧客サポートを目的とした「コールセンター」「ダイレクトセンター」、支店サポートを目的として「サービスセンター」「ビジネスセンター」といった組織で構成されます。
支店は、顧客にサービスを提供したりする営業業務ですが、「預金窓口」「為替窓口」「融資」「渉外」という4つの部署で構成されます。支店によっては1つの部署が兼務していたり、部署がないという銀行もあります。

 

本店で働く市場や管理と、本支店で働くリーテル・法人

銀行には多種多様な業務がありますので、職種も多種多様になります。
リーテル業務と法人業務を担当する人は、基本的に本店と支店にわかれています。リーテル業務においては「営業企画」「販売促進」などが本店、「預金窓口」「ローン」「渉外」「プライベートバンカー」などが支店になります。法人業務においては「営業企画」「融資審査」「シンジケートローン」「投資銀行営業」などが本部、「渉外」「融資」「財務戦略」などが支店になり、それぞれ働いています。
基本的に本店で行われるのは市場業務やサービス・管理業務です。
市場部門で働いている人は「トレーダー」「ディーラー」「金融商品開発」「アナリスト」などが居て、サービス・管理部門では「経営企画」「財務・経理」「総務」「人事」「情報システム」などが居ますし、「コールセンター」「リスク管理」「監査」「コンプライアンス」といった職種もあります。

 

本店はサービス・商品を企画し、支店は提供・営業を担当している

銀行の業務は、基本的に本部が業務・部門ごとに色々な基本方針を立てています。商品やサービス内容を企画し、それを支店が提供したり売り込みをしたりします。支店ではお金や顧客情報を管理するので、ミスがないように事務作業が膨大になります。それをサポートするための機能も本店が提供しています。
国際業務では、個人向けの外国為替業務以外は法人向けの業務がほとんどですので、多くが本店と支店が協力してサービス提供をしています。投資銀行業務という、社債発行といったアレンジなどを行う業務についても協力体制になっていることが多いです。
市場業務についての多くは、本店からの依頼や部門独自の考えで行われます。

銀行業界における関係事業者

金融庁は銀行を管理監督、検査するところ

銀行は規制が多い業種です。
その銀行を監督する機関であり、許認可の権限を持っているのが『金融庁』です。
銀行の経営戦略から業務の方法までを左右する大きな存在になります。

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金融庁の代表的な部署は「総務企画局」という法律を制定し金融制度をつくるところ、「監督局」という外部から経営の健全性を確認するところ、「検査局」という銀行に実際に出向いて検査にあたるところ、「証券取引監視委員会」というインサイダー取引などの不正取引を調査するところなどがあります。
不祥事があり、旧大蔵省が財務省と金融庁にわかれました。
そのおかげで当局の管理・監督方針が、透明になってきたとは言われています。

しかし定期的に実施される「立入検査」では金融庁に楯つくと厳しくなってしまうと信じられています。
なので、検査が始まると調査に対応する本部や一部の支店は関連業務をストップしてまで対応に追われてしまいます。

日本銀行は日本の金融調整機能を担当している

日本で唯一お金が発行できるのは日本の中央銀行である日本銀行だけです。

日本銀行は「日本銀行法」に基いて、半官半民の認可法人です。
その役割は「銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調整を行うこと」と「銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資すること」です。
代表的な部署は「製作委員会」という金融政策の運営などを担当するところ、「金融市場局」という金融市場調節の実施内容などを決定するところ、「企画局」という通貨及び金融の調節方針を企画するところ、「国際局」という外国中央銀行や国際機関と連絡・調整をするところ、「金融機構局」という信用秩序の維持に関する施策を決めるところなどです。

銀行にとって、一番重要な日本銀行の機能は「金融調整機能」になります。
金融の引き締め・緩和をする日本銀行は「基準割引率および基準貸付利率」によって銀行にお金を貸し、「無担保コール翌日物」の金利を誘導目標まで引き上げたり下げたりします。

預金保険機構や業界団体と、金融行政を答申する金融審議会

日本銀行や金融庁以外にも銀行業界に大きな影響を与えるのが、「金融審議会」という政府の団体です。
内閣総理大臣、金融庁長官、財務大臣の諮問機関になります。
メンバーは金融界や産業界の代表、学識経験者、専門家といった方々がいます。
金融制度の改廃やあり方を審議して政府に答申するのが主な内容です。

「預金保険機構」は国、日本銀行、民間金融機関が出資して設立した団体です。
預金者保護のための基金を、金融機関から保険金として徴収します。
万が一金融機関が破綻した時は、一定の範囲内で預金を保護する目的です。

他にも「全国銀行業界」「信託協会」「全国地方銀行協会」「第2地方銀行協会」などの団体があり、政府へ働きかけたり、銀行業界全体の発展などを図っています。

銀行業界における顧客像

個人と法人の顧客は色々な属性データで管理する

銀行を利用する時は、窓口やインターネットで色々な個人情報を入力します。
銀行には「性別」「年齢」「勤務先」「勤続年数」「預金高」「ローン・借金」「創業年数」などといった色々な個人情報が控えられています。

こうした個人情報データを元に住宅ローンを提案したり、法人であれば新規融資を提案したりします。
特に近年は、生命保険や投資信託といった金融商品の販売やクレジットカードの勧誘などに盛んに利用されています。

しかし、これまでは基本的に待っている姿勢だったので、こうした個人情報データを生かしきれていないのでは、という指摘もあります。

不動産業と製造業は法人向け融資での割合が高い

銀行の法人顧客について、業種別の融資先データが有価証券報告書に公開されています。
銀行によって業態区分に違いがあったりはしますが、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、横浜銀行が一番貸出しているのは製造業です。

しかし、静岡銀行ではそうした傾向は見られません。
メーカーの工場や事務所の所在地と資金需要が連動していると言えます。
建設業と不動産業は『金融庁検査マニュアル』において運転資金の計算式の適用対象外となっていますので、融資が難しくなっていると言われています。
ただ、不動産を担保にできる不動産業は、貸出比率が比較的高く、建設業は軒並み低いです。

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その他の貸出先で目立っているのは、メガバンクにおける金融・保険業となります。
消費者金融などの金融機関から資金を調達し、貸し出すという企業の需要が高いためでしょう。

銀行の個人顧客は西高東低の傾向がでている

個人の顧客についてのデータは個人情報保護などの観点から基本的にどこもほとんど公開していません。
しかし、「日本銀行がマクロデータを「資金循環統計」発表しています。
これによれば、ここ近年は普通預金や貯蓄預金(流動性預金)は増加している傾向で、定期預金など(定期性預金)は若干減っている傾向、外資預金は若干増えている傾向となっています。

地域別に見れば、銀行への個人預金が一番多いのは東京以外の関東です(全体の約22%)。
次点の東京(約20%)と合わせると、日本における個人預金の4割にもなります。
その他では、大阪・近畿(大阪以外)、九州・沖縄が8~10%となり、西高東低に傾向が出ていると言えます。

毎年、日本経済新聞などが銀行の個人向けサービスについての満足度調査を行っています。
近年では、ソニー銀行や住信SBIネット銀行などのインターネット専業銀行の順位が高くなっているようです。

銀行業界におけるサービス像

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銀行のサービスはリーテル、法人、国際、市場の4つに分類される

銀行のサービスを大きく分類すると「リーテル業務」「法人業務」「国際業務」「市場業務」の4つになります。
リーテルは預貯金・信託・振込振替・金融商品の販売、法人は預金・信託・融資・決済振込振替・送金、国際は国際融資・国際決済など、市場は資金運用、といったサービスを提供しています。
ただし、銀行の有価証券報告書ではこうしたサービス区分では発表されていません。
ローンや融資などからの収益である「資産運用」、振込や振替といったものの手数料での収益である「役務取引等」、金利や有価証券の価格変動や市場格差からの収益である「特定取引」、不動産や金銭を顧客から預かり運用する「信託業務」、それら以外の収益である「その他業務」といった、国が定める区分で発表されています。

資金運用収益が、収益の半分以上を占める

全国銀行協会(国内の主要銀行、銀行持株会社、各地銀行協会で構成)では、『預金貸出金』『取引停止処分法人の負債』『手形』『銀行決済』などに関する色々なデータを発表しています。
全国銀行協会によると、全国主要119行の10年度経常収益は15兆5千億円ほどになります。この中で最も高い割合は「資産運用収益」の10兆2千億円です。次いで「役務収益」が2兆6千億円弱で、「その他業務収益」が1兆5億円となります。「特定取引収益」は4千5百億円、「信託報酬」が2千6百億円弱と続いていきます。
前年と対比するとその他業務が増加し、役務取引と特定取引が微増していますが、信託報酬が微減、資産運用は10%弱も落ちています。経常収益で目立っているものはその他業務の中の「国債等債権売却益+償還益」です。これが増減率に対して50%以上の増加となっていて、運用において国債に依存度が高くなっていると言えます。

資産運用益の占める割合は業務状態に寄って異なる

全国銀行協会では、業態別に収益データを発表しています。経常収益は都市銀行(6行)が7兆7千万円弱、地銀(63行)が4兆7千万円弱、信託銀行(6行)が1兆5千万円弱、第2地銀(42行)が1兆3千万円ほどです。
業態によって収益力は大きな差があります。収益の詳細を見てみると、都市銀行は資産運用益の割合が6割と高いですが、役務取引等収益も全体の約2割です。地方銀行などでは役務取引等収益が約8割とかなり高くなっています。信託銀行では信託報酬が15%を占めていて、他の業務に比べると高くなります。
また、ぞの業態でも資産運用収益は下がっています。役務取引等収益が増加していて、特に国債の運用額は増えています。

いろんなサービスを提供する銀行は、巨大な金融グループの中核企業

銀行業というのは『金融サービス』を提供するところです。

金融サービスとは、店舗やATMなどを通じでお金や資産を預かって金利を支払う「預貯金・信託」、お金を貸して利子をとる「融資・ローン」、振り込みや振替を請け負って手数料をとる「為替」などがあります。

銀行は預貯金や融資などを通じ、お金があるところから必要としているところへ循環させる『間接金融』という社会インフラの役割があります。

とはいえ、お金を扱うというモラルと責任が問われるサービスを扱っていますので、日本銀行や財務省といったところから色々な規制をかけられています。

90年代終わりの『日本版金融ビッグバン』によって金融持ち株会社が認可されました。
巨大な金融グループが続々と誕生しています。

現在、銀行はその中核企業として、証券会社やノンバンク系などと連携して色々なサービスを提供しています。

企業融資中心型から複合金融サービス型への移行が求められている

銀行業界は、戦後長く安定成長を続けてきました。

しかし、バブルの崩壊、業界再編、BIS規制の導入、リーマンショックなどがあり、業績は安定しているとは言えません。

ここ10年ほどは基本的に減少している傾向で、01年に20兆円あった収益は10年には15兆円強となってしまっています。

06年から07年度は好決算でしたが、貸し倒れに備えて積立てていた引当金が不要になったために生じた「戻り益」を利益として計上しているためです。

主だった収益である企業融資による収益は改善していないのです。

大・中堅企業が、資産を調達する手段を銀行などの『間接企業』から、社会を発行するなどといった『直接金融』に切り替わってきています。

今後は投資信託や生命保険などの金融商品の販売や為替や債券といったものの市場取引、企業の合併や買収アレンジという投資銀行業務など、多岐にわたるサービスを展開して売上と収益をあげていくことが求められていくでしょう。

取引高の5割を占めるのは3つのメガバンクグループという業界構造

日本には約200の銀行、300弱の信用金庫、150強の信用組合、その他にも労働金庫や農林中金といったものがあります。(11年3月時点)

その中で、総資産が100兆円を越えているのは「三菱UFJファイナンシャルグループ」「みずほファイナンシャルグループ」「三井住友ファイナンシャルグループ」「ゆうちょ銀行」の4社です。

しかし、ゆうちょ銀行は預金高は多いですが、そのほとんどは国債で運用しているので、フルラインのサービスを提供している残りの3グループが一般的にメガバンクと呼ばれています。

銀行業界の取引高を5割をこの3グループで占めています。

総資産が数十億円規模の、いわゆる準大手企業には「りそなホールディングス」「三井住友トラスト・ホールディングス」があります。

かつては企業向けの長期貸付を主体業務としていた「あおぞら銀行」や「新生銀行」は総資産規模が数兆円から数数兆円規模で、大手の地方銀行とほぼ同規格となっています。