これからの銀行業界について|メガバンクのアジア戦略と情報システム

90年代はバブルの崩壊とBIS規制への適用のために、日本の銀行の多くは海外事業から手を引きました。

しかし、近年の国内市場の縮小であったり、企業の生産拠点が海外になっているということに合わせて、メガバンクなども海外支店の出店を推し進めています。

以前の海外進出とは違い、多くの銀行はアジアを中心とした新興国に出店をしています。

みずほコーポレート銀行は、中国企業に対して金融サービスを提供しはじめたり、インドネシアやベトナムあたりの投資監督機関と業務協力を提携しています。

三菱東京UFJ銀行はアジアで開発銀行と貿易金融円滑化プログラムに関する協定を結んだりしていいます。
しかし、金融に関して国内産業保護策をとっている国も多いです。マレーシア、インドネシア、シンガポールなどは「イスラム金融」という独自の宗教的な規制もあります。そのため、良い成果をあげるまでにはなっていなかったりします。

業務の変化により重要性が高まる情報システム

金融商品と金融サービスが多様化していく中で、銀行の情報システムの重要性が昔に比べてかなり高くなっています。

銀行で使われる情報システムには「業務系」「情報系」「事務系」「顧客管理」などのわけられます。その中で一番重要視されているのが業務系システムになります。

業務系システムは「勘定系」という銀行の会計勘定処理を行うもの、「資金証券系」という市場関連処理を行うもの、「外為・海外支店系」という国際業務と為替処理を行うもの、「対外接続系」という銀行のオンライン処理を行うものなどにわけられます。

このシステムが有機的に繋がることで、銀行のいろいろな業務が提供されているのです。

ここのところ、情報システムの変化やビジネスの変化はかなり早いスピードです。

その変化に追いつくために「電子稟議システム」「重要書類のICタグ管理」「コンビニATMとの連携」「届け印の電子照合」というような新しいシステム構築計画がすすめられています。

これらの動きはさらに強まっていくでしょう。

 

特定顧客を囲い込むためのサービス

現在銀行には、クレジットカード業務の提供やペイオフ対応による名寄せといった、個人情報の積み上げによる薄利多売型ビジネスを逐う土台が固まりつつあります。

「みずほマイレージクラブ」は小売店やホテル・レストランなどの利用でポイント還元に繋がることを全面に打ち出していて、個人顧客の囲い込みに安定的な成功をしています。

これからの銀行は、特定の層に向けた形でのサービスをはじめると予想されています。

とくに、800万人はいると言われる団塊世代に向けたサービスは始まっており、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行はJRの「大人の休日倶楽部」と提携していますし、三井住友銀行は「One’s nextクラブ」、三菱東京UFJ銀行は「Quality Life Club」を立ち上げ、定期預金の金利を上乗せしたり、相続や不動産の相談を受けたり、名医紹介サービスやパック旅行割り引き、レストランの予約を受け付けたりと、会員に向けたいろいろなサービスをしています。

投資銀行の業務について

投資銀行業務は、債券の引き受けやM&Aを通じ、事業・財務を支援する

投資銀行業務というのは、債券の引き受け、資産などの買収・売却アドバイザーを通じ、企業の事業・財務戦略を立案し、実現に向けてサポートするサービスです。
通常2つの部門が協力して投資銀行業務をおこないます。1つは企業の資金調達や合併吸収などのニーズを把握し案件へとつなげる(営業)部門。もう1つが実際のM&Aと債券発行の計画をする部門です。しかし、日本の銀行では法人営業部門や国際部門も協力して案件を獲得していくという事例が多くあります。
欧米では、商業銀行の規模が小さいので法人向けの証券事業者が、企業をサポートすることで産業を育ててきました。その業務の延長線で生まれたものが投資銀行業務であり外資系投資銀行です。なので、外資系の投資銀行は企業の公開株式の主幹事証券業務も担っています。

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外資系投資銀行業は世界的な資金調達によって優位に立っている

90年代の金融規制緩和の後から、社債を発行することで直接投資家から資金を集める会社が増えてきました。利回りやリスク、権利設定といったものにより「普通社債」「転換社債」「新株引受権付社債」「劣後債」といった色々なシュルの社債があります。格付会社により格付けが行われた会社は、低い金利で社債が発行できるようになります。
社債の発行で活躍するのが外資系投資銀行です。グローバルでの資金調達の計画に優れていて、海外の投資家などとも深く繋がりのあるためです。
メガバンクグループはこれに対抗するために、三井住友ファイナンシャルグループは日興コーディアル証券を買収したり、三菱東京UFJファイナンシャルグループはモルガン・スタンレーに出資するなどしています。みずほファイナンシャルグループも傘下のみずほ証券などを通じて投資銀行業務を本格的におこないはじめています。

 

企業価値評価は納得感のある合併吸収に必要となる

00年代後半以降では、M&A案件でも外資系投資銀行が活躍しています。双方にとって納得感のある企業価値評価が大切になってくるM&A案件の例ではゴールドマン・サックスの「ソフトバンクのボーダフォン買収」「花王のカネボウ化粧品事業買収」、J・P・モルガンの「新日本石油と新日鉱ホールディングスの経営統合」「中央三井トラストホールディングスと住友信託銀行の経営統合」などです。
いま、M&A案件で使われている企業価値評価の算出には「DCF方式」「類似企業比較方式」があります。
DCF方式では将来のある一定期間までのフリーキャッシュフローを予測制作し、資本コストで現在価値に割引き、さらに一定期間の後の継続価値を算出します。
類似企業比較方式では、事業領域の近い上場企業をいくつか選び、評価倍率を求めて事業価値を算出しています。

市場業務について

市場業務とは、資金の運用と資金ギャップの調整を行う

預金額と融資額のギャップを調整したり、自行及び取引先の企業の資産運用などをおこなうのが市場部門です。資金調達は本店と、取引先の企業の資金運用は法人部門や支店と連携しておこなわれます。
銀行は預金残高と融資残高のバランスを常に取る必要があります。例えば、20年の在宅ローン融資によるギャップならば証券市場で金利スワップ取り引きや債券先物といった長期金融商品を調達します。企業向けの短期貸出によるギャップが生じた場合はインターバンク市場で商業手形などを調達します。短期・長期といった金融商品の期間もみながら預金と融資のバランスを調整しています。
このことから、市場業務の運用対象は様々な種類や様式があるということです。通貨・金利といった直物や先物、国内外の株式などをインターバンク市場・オープン市場・証券市場を通じて取り引きします。

 

市場のスペシャリストが色々な形で資産運用に関与する

いろいろな市場のスペシャリストが外部の市場関係者と取り引きをするのが市場運用部門です。銀行は通常、自社の判断とリスクで資金運用する職を「ディーラー」と呼びます。他にも、法人の顧客の指示とリスクで資金運用をする職を「トレーダー」、さまざまな金融商品の調査と分析をする職を「アナリスト」、為替・債券・デリバティブの取り引きにおいて仲介役をする職を「ブローカー」と呼びますが、呼び名については業界によって差異があったりします。
資金の運用はレバレッジを効かせることでたくさんの利益を作り出す可能性がありますが、リスクがかなり高くなります。なので、銀行では運用額が大きい場合は、1回の取り引きどこにレートを決めたりしてリスクを分散させるようにしていますし、ディーラーにはトレーディングのスキルによって運用可能は金額(ポジション)を決めています。また、業務連動型の報酬システムである外資系銀行のディーラーには数億円というプレイヤーがいることも珍しいことではありません。

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投資信託とは投資信託会社が形成し、信託銀行が運用している

投資信託も市場での運用成績の結果によって、投資家に償還金や配分金を還元するという金融商品です。しかし、商品を設計しているのは投資信託会社です。
投資信託では有価商品・為替・不動産・デリバティブといった色々な金融商品を対象にしています。販売者である銀行などが募集及び販売をして投資家から資金を集め、運用会社である投資信託会社などがその資金で投資信託を形成して、管理会社である信託銀行に運用を言いつけます。
信託銀行は指示に沿って資金を株式や債券などに投資・管理をします。こうして投資信託として運用し、得られた収益があった場合は銀行を通して投資家へと還元されていきます。
投資信託が正しく運用されているかどうかについては倒立監査人によってチェックされます。

国際業務について

国際業務は法人向けのサービスがメイン

個人及び法人向けの外国為替業務の統括・支援、法人向けの海外進出支援・海外融資の審査・世界的な資金管理と調達、さらに自行の海外戦略の計画をするのが国際部門です。
国際業務の多くは法人向けです。業務のほとんどは法人部門や国内の支店、海外の視点、投資銀行部門といったところと連携しておこなわれています。

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80年代にかけて日本企業が海外事業を展開するのに合わせて、日本の銀行の多くは欧米を中心に海外支店を出しました。バブルが崩壊した後は海外拠点は減らしていて、01年に都銀で147あった海外拠点の数は2年後にはおよそ半減してしまっています。
バブルが崩壊したことやBIS規制が適用された影響もありますが、日本の銀行が海外における合併吸収や社債発行、ストラクチャード・ファイナンスなどの投資銀行業務で欧米の銀行に争えなかったのです。
しかし、近年では国内市場が縮小するのとアジア市場が拡大していることで、中国を中心に海外拠点を増やしている銀行もでてきています。

 

国債決済サービスはコルレス銀行を通じておこなわれている

銀行の国際業務の大事な役割の1つが、取引先の企業が海外の企業との間にできた債券・債務を決算するというサービスです。海外には銀行間の決済システムがありません。ですので、通常は海外の銀行に預金勘定(コルレス口座)を開設し、その口座を利用して決済を行います。とはいえ、1つの銀行が海外の全ての銀行に預金口座を作るというのは現実的ではありません。そのために、口座のない銀行との取引には、通貨の中継地点である「コルレス銀行」を介して取引を行うことになります。コルレス銀行は通貨毎に決まっていて、日本では三菱東京UFJ銀行、アメリカではニューヨーク銀行、ユーロではドイツ銀行などです。
また、「輸出手形の買取」「輸出利引きのリスクヘッジや回収代行」「信用状の発行」「インターネットにより外為業務の電子化」といった、企業が国際取引で必要となるサービスも提供してます。

 

海外進出支援は外部提供会社と連携して提供されている

銀行は、経営支援サービスと同じように、外部の提携会社と連携して取引先の企業の海外進出を支援しています。
国際部門では、海外進出の時に必要な資金の融資や世界的な資金管理・調達、海外との取引の決済を支援するという本来の業務の他にも、現地で必要となるいろいろな業務をサポートしていきます。例えば海外支店や駐在員事務所などと連携し、地域の経済や政治の情報やリスク要因の収集、進出に対してのアドバイス、現地での法人設立を支援、オフィスや工場に必要な設備などをリース会社と提携して手配をしたりしています。
なお、海外における設備資金や運転資金の融資は「外貨建て融資(インパクトローンとも呼ばれる)」がおこなわれ、必要があれば元気通貨建てでの取引がその後も続けられます。

為替や経営支援の業務について

情報システムが進化したことによって業務支援サービスは不可欠となった

決済・為替業務はかつては融資業務の保管サービスというかたちで提供されていました。現在では、情報システムが進化し、サービスメニューも多様化になったので、取引先の企業にとっては不可欠な業務支援サービスとなっています。
主に利用される業務支援サービスは「口座紹介」「入金の消し込み」や、サービスで利用するデータのアップロード及びダウンロード、リストデータを利用して取引先へ振込をしたり社員の給与・賞与を自動的に振り込みしたりというものがあります。さらに、警備会社と連携して集金・入金管理などのサービスも提供しています。
また、近年ではインターネットで代金支払い・債権譲渡などができるようなサービスもはじまっています。インターネット上で金額と支払期日を入力し、売掛債権や手形といった「電子登録債券」を発行・管理できるのです。

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経営支援サービスも提携企業と共にさまざまなものを提供している

法人業務の一環で、いろいろな経営支援サービスを提供しています。以前から、業績が不振の企業には経営アドバイスをしてきました。その他に「ビジネスマッチング」といって取引先の企業間を繋いだり、「福利厚生」で財形預金や提携ローン、確定搬出年金といったものを提供したり、「資産運用」といったサービスでは起業資金やオーナー資金を預金・個人年金保険・投資信託・国債といった形で運用したりしています。
一部の銀行では、傘下の信託銀行やコンサルティング会社と提携し、「コンサルティング」といった人事戦略立案や企業内研修を行ったり、「信託業務」といった証券代行業務や不動産信託業務を行ったり、「リファクタリング」を一本化で提供したりしています。こうした経営支援サービスは、地場産業の育成・産学連携プロジェクトといった場面でも使われています。

 

銀行独自の価値を事業継承で発揮している

今現在、銀行が経営支援サービスにおいて特に力を入れているのは「事業継承の支援」というサービスです。
創業者が1代で大きくした中小企業では後継者育成の意識が薄めで、会社の資本関係も複雑であり、会社の資産と経営者の資産が一体化してしまっています。このような場合、現状を把握して次の世代へ継承する方法を決めて、事業継承計画をつくらなくてはなりません。しかし、株式や財産の分与、生前贈与の考慮、遺言を活用するといった相続面での作業が必要になってくるので、普通のコンサルティング会社ではうまく手さばきできません。
なので、相続や経営、さらには合併吸収などについて知識と経験が豊富な銀行が事業継承を支援することにより、取引先は様々な計画の立案から具体的な対策まで任せられますし、銀行側は自社の金融サービスを売り込みすることができます。
いろんな銀行で事業継承のセミナーが行われていて、これからはよりこうした動きが活発していくでしょう。

企業へ融資する業務について

運転資金や設備資金の融資が法人業務の中心

法人業務の一番基本的なサービスは「融資」で、これは他の全ての業務へと繋がっていきます。
銀行を通じて行われる融資には「信用保証付き融資」と「プロバー融資」という2つに大きく分けられます。

「信用保証付き融資」は銀行と信用保証協会が共同で債務リスクを負います。
信用保証付き融資はさらに、銀行が2割・保証協会が8割を保証する「部分保証方式」と、保証協会が全額保証するが銀行が負担金を払う「負担金方式」に分かれます。

「プロバー融資」は銀行が全ての債務リスクを背負います。
この中にも色々な融資の種類があり、約束手形を銀行に発行してもらって融資する「手形融資」、借用手形を差し出してもらい1年以内という短期の貸付をする「手形貸付」、融資の条件を書き記した金銭消費貸借契約書を出してもらい1年以上という長期の貸付をする「証書貸付」、預金額と融資限度額を連動させその範囲で融資する「一般当座貸付」、預金額より超える融資限度額を設定しその範囲内で融資をする「専用(特別)当座貸付」があります。

 

融資の稟議では色々な書類の制作が必要になる

銀行の渉外担当が取引先に融資を行いたいとなると、まず稟議書を作るところからはじまります。
稟議書とは「融資金額」「融資条件(融資日・返済期日・金利)」「資金用途(運転資金・設備資金・他行借入返済)」「返済計画」「返済財源」「担保」「保証人」などを書き記すのが一般的です。
さらには、融資をする候補先の「決算書」「現状借り入れ金の明細」「資金繰り表」「見積書(設備資金の場合)」「利益計画書」「保有資産の状況」「他行取引状況及び他行保全状況」「会社変動要因と対応策」などを添え付けます。

こうして資料をまとめた稟議書を元に、支店または本部の融資審査部が返済が可能であるか、返済が不能でも資金回収ができるかなどを検討して融資の判断を下します。
業績が優良の企業は、取引先の銀行に競って融資の提案をしてもらうことで、より条件の良い融資を選択するというケースもあります。

 

メガバンクは中小企業向けの融資に積極的

かつては中小企業向けの融資というのは地銀や信用金庫が主に行うものでした。
これは中小企業に担保の価値がある物件があまりなく、財務内容が把握しづらかったからです。
けれども、近年はメガバンクも中小企業向けの融資に積極的になってきています。

特に、三井住友銀行は法人営業部と「ビジネスサポートプラザ」が協力し、「ビジネスセレクトローン」を全国で展開すると実績を大きく伸ばしました。
ビジネスセレクトローンとは「第三者保証不要(代表取締役の連帯保証は必要)」「原則無担保(3年以内)」「年利の平均約3%」「素早い審査」という融資条件のものです。

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この結果を見て、次々とメガバンクや大手の地方銀行が中小企業向けのビジネスローンを展開しています。
そうなると競争が激化し、ビジネスローン商品は淘汰されていきましたが、いまも三菱東京UFJ銀行や東京都民銀行などはビジネスローンを提供しています。
最近では、税理士・会計士などに推薦された企業には優遇プランなどを用意したりもしています。

法人業務について

法人業務とは企業の財務をいろんな側面からサポートすること

取引先の企業に向けて、いろいろな金融サービスを提供することを法人業務と呼びます。例えば、運転資金などの融資、決済などの為替、資金の運用や投資を支援したりしています。
企業(大企業)向けの法人部門に配属になるということはエリートコースであるとされていました。単なる融資だけでなく、従業員の給与などの振込や法人税の納税、取引代金の支払いなど、企業のお金に関わる部分の多くと付き合いがあるために銀行の収益に大きく関わってくるからです。
しかし、最近では企業のグローバル化が進んでいるため、メガバンクにも多種多様な資金調達計画や合併吸収のアレンジなどの高度なサービスが求められています。また、地銀にはより地域密着型に特化した繊細なサービスとコストの削減が求められてきています。

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メインバンクと企業集団が力を失いつつある

戦後の日本経済の発展には、メーンバンク制とあいまり、銀行の企業向け融資が大きな役割を果たしていました。メーンバンク制というのは、いくつもの金融機関と取引関係をもつ企業が、主に取引を行っている銀行と預金・融資・為替・取引先の紹介といった密接な取引をすることにより、経営が悪化した時に資金の貸出であったり、役員の派遣などをしてもらうシステムのことです。
特に、都銀系と取引関係にある企業は、住友系の「白水会」、三菱系の「金曜会」、三井系の「二木会」、芙蓉(富士)系の「芙蓉会」、一勧(第一勧銀)系の「三金会」、三和系のコ一水会」という銀行・商社を中心とする「6大企業集団」のどれかに所属しました。そうすることで、株の持ち合いも含め、取引関係を深めていたのです。
バブルが崩壊してからは銀行の合併が多くありましたし、BIS規制の適用もあって株の持ち合いが減りました。大企業が直接融資によって資金調達することも増えましたので、三菱系以外は以前のような影響力を失いつつあると言われています。

 

銀行による企業の格付けが融資条件を左右する

銀行は取引先の企業を、独自の基準によって格付けをします。「決算書」から財務分析をし、「担保明細」から資産分析、「決算書」や「過去の取引履歴」などから経営分析をし、そこから算出されたデータを元に格付けが行われるのが一般的で、本部の審査部によって年次単位で決算月から4ヶ月以内に行われます。
この格付けは企業への融資の際に使われ、格付けが落ちれば融資金利が高く設定することになります。
銀行が行う格付けは金融庁による「金融検査マニュアル」をベースにします。このマニュアルでは「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」というように債務者を区分して、その区分と貸倒引当金を精査することで銀行のリスク管理状況を見極めています。
近年はBIS規制に対応するために、格付け作業を重要視する動きになってきています。

ローンの業務について

銀行ローンは個人向けの融資商品

住宅や自動車の購入に足りない費用を貸し出す個人向け金融商品が銀行ローンです。顧客からするとノンバンクではないところから借りるよりも金利が抑えられて資金調達できますし、銀行はローンの利子を収入源とできるため、ほとんどの銀行がローン商品を扱っています。「住宅ローン」「自動車ローン」「教育ローン」「ブライダル・結婚ローン」「カードローン」「フリーローン」といった種類があります。また自動車ローンには新車、中古車といった目的別に分かれています。
基本的に銀行ローンは「信用保証会社」が連帯保証人となる形になります。債務不履行の時には保証会社が残債務を生産するので、銀行には基本的にリスクがないのです。なお、そのようなことが起きた時は、借りていた方は信用保証会社が建て替えてくれたということになるので信用保証会社に対して残債務の返済をしていくことになります。

 

住宅ローンはローン商品の売上の9割を占める

土地の購入、家の建築、マンションの購入、建売住宅の購入といった住宅を購入する時に必要となる資金専用のローンが「住宅ローン」です。これはローン商品の9割を占めています。
「土地や家を担保にできる」「借入額が大きく金利が低い」「返済期間が長いので長期の利鞘が望める」「借りる方にが生命保険や火災保険といったものの加入を求められる」「一般的に貸倒が少ない」というのが住宅ローンの特徴になります。
住宅ローンを販売する時には「借入期間」「金利方式」「返済方式」を決めることになります。借入期間に関しては一般的に「10年」「20年」「35年」などがあります。親子リレーローンというのもありそれを使えば「70年」というのも可能です。金利方式は「変動金利型」「全期間固定金利型」「固定金利期間選択型」があります。返済方式は「元利均等方式」という毎月返済する金額が元金と利息を合わせて借入期間ずっと一定になるように調整するもので、「元金均等方式」は毎月返済する金額は元金は借入期間中一定でそれにその時の利息を合わせたものになります。

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ローン業務はこれから競争が激化するといわれている

今現在、用途が自由なローンであるフリーローンなど様々なローン商品を銀行は扱っています。これらはかつては消費者金融会社が主に提供していたものです。
リスクを分散することができる個人融資を増やすために90年代から00年代にかけてノンバンクと提携していき、いろんなローン商品を作ってきました。こうしたものは銀行が窓口となって販売し審査と保証は消費者金融会社が引き受けるという形で提供しています。
最近ではいわゆるグレーゾーン金利(出資法で定められた上限金利と利息制限法で定められた上限金利の間の闇の金利)と呼ばれるものが法律で廃止されたことで、ローン商品の金利は下がってきています。インターネット専業銀行が低金利ローンを提供しはじめていることもあり、今後は競争が激しくなってくることでしょう。

預金・為替・取り次ぎ販売の業務について

預貯金は流動性預金、定期性預金などにわけられる

「預金」はお金を預かって利子を支払うという、リーテル業務において他の全業務にも繋がる一番基本的なサービスです。
銀行が提供するものでは「流動性預金」「定期性預金(定期預金)」「外資預金」に分けることができます。
流動性預金というのは最も一般的な「普通預金」、基準残高が決められているけど普通預金よりも利回りが高い「貯蓄預金」、無利子で決済用として使われる「当座預金」などがあります。
定期性預金には「定期預金」の他にも、遺族年金などを受給している人向けの「福祉定期」、要介護認定者がいる家族に向けた「介護定期」、公共団体などへの寄付が付いている「環境定期」などがあります。
外資預金にも円預金と同じように普通預金、貯蓄預金、定期預金とあります。しかし、為替変動のリスクが高いうえに預金保険の対象外なので、定期預金の預入期間が1ヶ月~1年に決められています。

 

為替業務とは実際にお金を動かさずに決済ができる

「為替業務」とは振込・振替・送金といった決済に関わるサービスのことで、預貯金と共にリーテル業務の基本的なサービスになります。為替業務は「国内為替業務」と「海外為替業務」に分けることが出来ます。
国内為替業務は、相手の口座に振り込む「振込」、同じ銀行内の別の自分の口座に移す「振替」、相手先の銀行で現金化することができる送金小切手を発行する「送金」などがあります。手数料は金額と相手先の銀行によって決まります。
海外為替業務では、「両替」「海外送金」といったものがあります。海外送金は、外国向けに送金するのと外国からの送金があります。送金小切手や国際郵便為替や、電子送金(口座振込)といったやり方で相手に届けます。利用者は「送金手数料」「受取手数料」「為替手数料」を支払います。

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金融ビッグバンの後に増えた金融商品

「金融制度改革」によって銀行の窓口で扱える金融商品が預貯金以外にも増えてきました。円での定期預金で利息がほとんどつかなくなったのもあり、銀行での投資信託などその他の金融商品の売上が増えていき、リーテル業務の中心となってきています。
「投資信託」は運用する対象によって、国内株式と海外株式、国内酒んと海外債権、不動産、投資対象を複数組み合わせたバランス型があります。「保険・年金」には保証保険と呼ばれるものと(介護保険、医療保険、死亡保険など)、保険の仕組みを利用した私的年金である年金保険があります。他にも、個人向け国債や外国債券、金地金といったものも窓口で扱っています。
また、グループの傘下企業の「信託サービス」「投資運用サービス」「証券仲介サービス」といったものの取り次ぎも行っています。
銀行の窓口は、昔よりもいろんな金融商品の知識が必要になってきています。

リーテル業務について

銀行のリーテル業務とは、個人向けにいろりおな金融サービスを提供すること

銀行が個人に向けていろいろな金融サービスを提供することをリーテル業務といいます。預金や振込・振替、住宅ローン、教育ローン、投資信託や生命保険などの個人向け金融商品を取り次いだり販売したりします。
昔はリーテル業務を主に扱っていたのは地方銀行や信用金庫でした。しかし、大企業が直接金融で資金調達をするようになってきた今では、銀行が扱える金融商品のラインナップが増えてきています。メガバンクも盛んに個人向けの商品を提供するようになってきていて、特に生命保険と投資信託の売上が伸びてきています。
ただし、住宅金融支援機構といった公的金融機関や、インターネット専業銀行、流通系銀行といった競合企業が多いのがリーテル分野の特徴でもあります。今後はさらに厳しい競い合いが予想され、コストの削減や顧客の利便性を向上させていかねばならないでしょう。

 

ライフイベントに合わせた商品の提案を求められるリーテル業務

個人の顧客は社会人になって給与振込口座を作るところなどに始まり、長いと半世紀以上は銀行との付き合いが続いていくことになります。その中で個人情報は銀行に蓄積されていくので、それを元に結婚や出産、住宅購入、子どもの入学といったライフイベントで顧客が必要となる金融サービスを提案していくという動きがあります。
例えば三井住友銀行の場合は、取引の履歴を元にターゲットを割り出します。そこからマネーライフパートナーを派遣して信頼関係を構築することを試みています。預金が満期になるタイミングで訪問したり、家族構成を聞いて必要な(オススメな)金融商品を提案したりして、継続的な取引を生涯にわたってしてもらえるよう試みを行っています。
これからは、ダイレクトメールやコールセンターといった従来のものだけでなく、営業店やインターネットなど様々な場所を通じて顧客との関係を密にしていくことが求めらると思います。

 

金融グループはいろんなサービスをワンストップで提供している

98年に独占禁止法が改正され、金融持株会社の設立が解禁されました。それを期に三菱UFJファイナンシャルグループ、みずほファイナンシャルグループ、三井住友ファイナンシャルグループといった金融持株会社が設立されています。これらの金融持株会社は、信託銀行、証券会社、投資信託会社、ノンバンクといった事業会社を傘下に入れています。そうすることで、個人の顧客に足して証券、投資信託、クレジットカードというようなサービスをワンストップで提供することができますし、しようとしています。特にみずほ、三井住友、三菱UFJといったメガバンク系の金融持株会社は00年代にかけて、次々と証券会社、信託銀行、ノンバンク事業の会社を傘下に入れています。
対して、地方銀行もノンバンクや証券会社を子会社化しているところもあります。証券会社を傘下に入れている銀行グループとしては「横浜銀行」(浜銀TT証券)、「八十二銀行」(八十二証券)、「第四銀行」(新潟証券)、「千葉銀行」(中央証券)、「百五銀行」(百五証券)、「山ロフィナンシャルグループ」(ワイエム証券)などがあります。

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